奴のとなり
「で、終わった」
急に来た終了宣言
全く内容が分からなかったけど、でも桃矢くんが終わったと言ったのなら終わったんだろう
なんだか、心の中のつっかえが取れた感じ
あたしは靄が晴れた心を味わいながら、桃矢くんを見上げる
桃矢くんもあたしを見ていたのか、目があった
「ありがとう」
何にかなんて聞かれてもわかんない
でも今のタイミングで言わなきゃってなった
桃矢くんにしたら、自分のためなんだし礼を言われることじゃないって思うかもしれない
いつもなら放置しておくだろうことを、あたしのためってしてくれたのが嬉しかった
あたしも少しは桃矢くんの中に存在するんだって知ったから
桃矢くんは貴重な優しい微笑みをみせると、
「俺こそ、ありがとう」
とあたしに言った
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