奴のとなり



「桃矢くん?」



「何だよ」



「今何時?」



あ?



と言いたげな顔をしたものの、桃矢くんは時計に目をやる



「…10時前」



「だよね」



「馬鹿にしてんのか?」



「まさか!?ただ…、何ご飯を食べに行くのか気になっただけだよ」



ちょっとした沈黙



まさか何も考えてないとか?



ちょっと考え込んだように空を見ると、



「腹減った」



とだけ答えた



「ぶっ」



可愛い



まぁあたしも小腹は減ったしね



「桜、行くぞ」



あたしの手を引き、桃矢くんは保健室を出て行く



「授業まだまだあるけど…」



「だな」



「ですよね」



ですよね



桃矢くんが気にする訳ないですよね



桃矢くんは何も話さずに、ただ歩いた










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