奴のとなり
わいわい盛り上がってて気づいた
桃矢くんはお腹減ったなんて言いながら、おばさんに会わせてくれたんだ
あたしのことを心配してくれてたから
「おばちゃん、ラーメン食いたい」
「はいよっ!ちょっと待ってな」
…多分
あたしもカウンター席に腰掛けると、同じものを注文した
「あと、餃子と炒飯も」
…
いつもより頼んでる
よっぽどお腹減ってたらしい
おばさんは神業の速さで作り上げると、輝かんばかりの笑顔であっという間に全てをカウンターに載せた
「お待ちどうさま」
目の前の料理はとっても美味しそうで、あたしは速攻手を合わせて、箸でつまみ始めた
「やっはし、おいひぃ〜」
久しぶりに食べるくろちゃんのラーメンはするすると喉を通って胃に収まる
食べても食べても取り皿の料理たちは減ることはない
……減らない
食べ進める箸を止めて、あたしは隣の奴を見る
桃矢くんはもりもりあたしの取り皿に料理を載せてて、自分はあまり食べていないらしい
「えっと…、桃矢くん?」
「なんだよ」
「それ、あたしのお皿だよ?」
「見りゃわかる」
「ですよね〜」
諦めて食べ続けることにした
最近あまり食べてなかったから、急に沢山食べたら胃がすぐに膨らむ
もうダウンです
あたしはお箸をテーブルに置くと、ご馳走様とあらわすように手を前で合わせた
桃矢くんの視線が痛い
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