奴のとなり
「桃矢くん」
「なんだよ」
「あたし、痩せた?」
桃矢くんの返事はなくても、表情を見ればわかる
確かにちょっと痩せたかもしれない
桃矢くんと会えない間、ごはんをちゃんとは食べられなかったし、それが気にならなかった
それどころじゃなかったんだもん
ご飯なんてどうでもよかった
「痩せたかなぁ・・・」
腕を擦りながら見てみるけど、やっぱり自分じゃわからない
ふいに桃矢くんに腕をつかまれる
桃矢くんの目がとっても辛そうで、切なげで、あたしまで悲しくなる
「頑張ってふっくらするから、ゆっくり待っててね」
「ぶっ」
「何よ・・・心配してそうだから言ったのに」
「だよな」
「じゃあじゃあ、がりがりのあたしと、ふっくらしたあたし、どっちが好き?」
「普通って選択はないのかよ」
「例え話でしょっ!!」
「はいはい、すみません」
桃矢くんはさっきの表情とは全く違う、いつもの桃矢くんに変わっていた
桃矢くんがあたしが痩せて心配するように、あたしも桃矢くんが悲しそうな顔すると心配みたい
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