奴のとなり



勢いのまま妙な沈黙が続いて、もう桃矢くんの方を見るのが怖くなってた




そんな重たい沈黙を破ったのは底抜けに明るい、おばさんの声だった




「わははは!!さくちゃんは面白い子だねぇっ!!」



全く状況に似つかわしくない笑い声



しかも意味不明




面白い話全くしてない




「飽きない」



そういって笑う桃矢くんにもがっかりだ




こんな人だなんて思わなかった




桃矢くんはあたしの手を掴むと、




「落ち着け」



ともう一度言ってあたしを席につかせた




「・・・・・・」




ぶすっとしたまま、変な空気のまま、あたしは席に着く





「俺は何ていった?」




「どっちでもいいって」




「だな」




そうは言ったわなぁっとおばさんの相槌も聴こえる




「で?」



「興味ないって・・・」




「言ったか?」




「言ってないかも」




「言ってねぇかもじゃねぇ、言ってねぇよ」




「でもっ!!そういう意味なんでしょ?」




ちゃんと確認したほうが傷が深い気がするんだけども




もう聞きたくないって耳を塞ぎたくなったけど、無理だった




「ちゃんと人の話は最後まで聞くって習ったろ?」




とおばさんの優しい声が聴こえたから










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