奴のとなり



それからは他愛もない話がゆっくり、この空間を包む空気と同じ速度で続く



勝手にキレて壊れてた、こんなあたしを何の気兼ねなくいつも通りに接してくれる



そんな2人が大好きだと思う



「出すもん出したらすっきりしたわぁ〜!!!」



……一応3人



奥にあるトイレから恥ずかしげもなく爽快に現れたのはケイちゃんで、あたしを見て驚きもしないのは、今日のデートプランにこの店も入ってたからだと分かった



うん○マンなケイちゃんはいつもの如くひたすら弾丸トークすると落ち着いたのかポテトフライを食べ始めた



あたしもいつも通り、「そっか」「ふーん」「すごいね」の3点攻撃を続ける



これがケイちゃんを流しきるいつもの手だから



すっかり日は暮れきって夜色の空が窓から見えて、そんなに時間が経ったのかと驚いた



飽きることなんてなくて



次々と話は浮かんでは消えていって



若干笑いすぎなのかお腹が痛い



顔の筋肉も



「さくちゃん、さくちゃん」



いつの間にやらカウンターから一番遠い角の席にケイちゃんがぽつりと座っていて、あたしに向かってとても真剣な顔して手招いてる



妙に真剣で怖い



それとともに背筋がぞわりとした














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