奴のとなり
2.満たされた痛み
温かい
それはどこか安心に似てる
幸せを言葉で表すなら温かいだと思う
まぁ、この状況では関係ないかもだけど
いつもより少し熱いシャワーの湯気が室内を白く包んで、あたしは頭からシャワーを浴びていた
「ふ〜〜」
ゆっくり体の奥底から出る二酸化炭素
ほっこりしてる
でもリラックスはしきれない
原因は自分が一番分かってる
ただ謎なのは自分で受け入れた展開のはずなのに、とっても緊張してるってこと
そういうものなの?
とっても小悪魔さんに電話したい気持ちに駆られるけど、タイミングが掴めない
普段より長めのシャワーを終えて、着替えてると、脱いだ服の中に固い手触り
「もしかして…」
予想通り携帯で、これは電話しろってこと?
少し強張った手で、携帯の電話帳を探る
"小悪魔さん"
見つけたその手で通話ボタンを押した
『こんばんは、一条さん』
いつでもどこでも優雅な小悪魔はすぐに出てくれた
やっぱりこういう時間に電話があるかもと察知していたらしい
「小悪魔さん…」
『ふふ、そんな不安そうな声出しちゃって。服は着たの?』
「えすぱーっ!?」
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