奴のとなり
小悪魔さんはやっぱりそういう能力持ってるんだっ!!
もう呆気にとられるというより、納得するしかない
まだバスタオル一枚ってこと、小悪魔さんにちゃっかりバレてる
『なんとなくね。で、怖くなっちゃった?』
「分からない。けど、落ち着かないの」
「手ふるふるしてるし、脱衣所から出ちゃったらどうしていいか分からない」
「にこにこしながら会えばいいの?いつも通りが分かんないよ」
『そうね、まず服を着ることそれに深呼吸。それから今日一日を思い出してみて』
言われるがままにしてから、今日のことをぽつりぽつり、思い出すままに口にする
たまに、小悪魔さんの相槌が聞こえてほっとする
ただ、途中で『アイツ…』と殺気を放っていたのは気にしないとして
それがケイちゃんの話とかも気にしないでおく
『どう、落ちついた?』
うん
手が、体が震えてない
何か大丈夫な気がする
「会ったら分かんないけど、今は大丈夫みたい」
『大切な人と初めて一番近づくんだもの。誰でも緊張するわ。しない方が変なの』
小悪魔さんの優しい言葉が、あたしを更に安心させた
『もし、その時になってダメだと思ったなら、素直に言っていいの。一樹くんも分かってくれる』
「ありがとう」
『いえいえ。次会ったらたっぷり聞かせていただくわ』
最後はとても怖い愉しげな声
でも優しい声だった
電話を切った後も、小悪魔さんに感謝をたくさんした
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