奴のとなり
3.リンゴの件について
「桜〜!リンゴ貰ってきたよっ、食べな」
ある日曜日のお昼間
珍しくお母さんが家にいて、あたしもいる
しかも仲良くリビングでわいわい話しながら
仕事先でリンゴを大量に貰ってきた
あたしの大好きなリンゴ
お母さんは自慢気で、鼻をフンと鳴らしながら机に並べた
これは食べるしかないでしょ
切っては食べ
切っては食べた
うまい…
あたし、リンゴだけで生きていけるかもしれない
そう思えるほど飽きなかった
「桜、あんたいつかリンゴになるよ」
なんて、お母さんは嬉しそうに笑いながら呆れてる
大好きなリンゴになれるなら本望です
そう笑い返した
こんなに食べたのに、リンゴはまだまだ山のように積まれていた
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