奴のとなり



ぼおっとしたまま時間はゆっくり流れて
ついにあたしは限界に達していた



お腹も頭痛も心も体も



「小悪魔さん…、あたし旅立ちます」



3時限目の休み時間に入ったと同時に、あたしは離脱宣言をした



小悪魔さんは酷く心配していて、「ついて行くわ」、「まさかね…」、「一度確かめないと」、とぶつぶつ言い続けていて



いつもの余裕はないみたいに見える



そんな小悪魔さんを巻き込むのも申し訳ないから、あたしは小さく首を振ると1人で旅立った



休み時間の保健室は静かで、先生はにっこり笑うと「お友達が先に休んでるわ」と視線を奥のベッドに投げかける



なんとなく、予想はついた



でも今はそんなことどうでもよくて、とにかく眠りたい



隣の坊主は気にしないことにして、あたしはモソモソと布団に潜り込んだ



先生はやっぱり出来る人で、ベッド周りに薬と紙袋と水を用意してくれた



「シーツだって洗えるんだから汚してもいいのよ」



なんて未来予測まで



たしかに汚すかもです



暖かなベッドに横になり、目を瞑る



ぎゅる



さあっと血の気が引くのを感じる



せっかく横になったのに、あたしはベッドを出る羽目になった



「せんせ?ちょっとトイレ行ってきます」



何やら内線で話していた先生は申し訳ないと手を顔の前に上げると、頭を下げる



ついてきてくれるつもりだったらしい



そうならなくて良かった



お腹が緩いときに、近くで誰かに見守られるとか気が休まらない



トイレに住むと、1時間もいれば腹痛は治ったみたい



これで眠れる



ふらふらと波打つように廊下を歩く












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