奴のとなり



「あのさ、仲良しなとこ悪いんだけど。一応、あたしいるんだよね」



さっきより楽しげなお母さんは楽しそうに笑う



それからは何故か宴会だった



お酒が当たり前に飛び出してきて、



「今日は無礼講だろ。可愛い娘に無愛想な旦那が出来たんだからね」



「付き合わないとどうなるか分かってんだろうね」



脅されなくても、付き合う気でいたらしい桃矢くんはどこか楽しげで、よく笑う



そんな桃矢くんを見られるあたしは幸せ者だ



少しして、なんでこんな話が急に出てきたのかって話になって



あたしはまた恥をかいた



事件の真相を話す羽目になったのだ



笑い死にする母と、冷たい目を向ける桃矢くん



「なら、呼んでやりな。心配かけたんだからね」



母の指すところはケイちゃんたちのことで、あたしはすぐに電話をかけた



ナナミさんのところにいたらしいケイちゃんは、ビビりながらも快くOKしてくれて、小悪魔さんも一緒に拾ってきてくれるみたいだった



3人が家に来るころにはお母さんは完璧にできあがっていていて、笑いっぱなし



ケイちゃんをぐりぐり撫で回し、ナナミさんをお酒に付き合わせている



そんな状態で恥をまた晒し



ケイちゃんにしこたま叱られた



「おしゃぶりまで買ってもたやろ!あれや、さくちゃんが使え!!さぁ、人の好意を無駄にすんな!!!」



できちゃった宣言だと思ってベビーグッズを持ってきたケイちゃんは笑いながら差し出す



なんだか申し訳なくて、口を開けると桃矢くんに睨まれた



冗談なのに



「おじいちゃんになり損ねたよ」



何故かあたしのお父さん目線なナナミさんはナナミスマイルでそう言ってきた



やっぱりナナミさんは知ってたんだと思う



エスパーだから











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