奴のとなり
もしかして、
さっき投げた豆は効いているのか?
あたしの自慢話は奴に少しの冷静さを与えたようだ。
「あいつ・・・」
ぼそりと漏らした声は、誰に宛てられたものなのか・・・。
考えてみても答えなんて出なくて、
あたしは項垂れた。
あたしに出来ることは、
さっきのあいつがあたしでは無いってことを祈るだけ。
奴はすっかりいつもの一樹桃矢に戻っていて、
ベッドに腰を下ろした。
それでも・・・、何かおかしい。
あたしが異変に気づいたのは、直ぐのこと。
奴は異常に汗を掻いているし、顔もやっぱり赤い。
あたしは体を起こすと、奴の額に触れる。
じわりと湿った額は、異常に熱い。