奴のとなり
「何で嬉しそうなのよ」
「そう見える?」
頷くと、奴は一瞬固まって、
またいつもの意地悪顔。
ケイちゃんって案外すごい人なのかも・・・。
だって、こいつの扱い方を心得ている。
何をしたら嫌がるか、何をしたら喜ぶか。
彼の提案は的確だった。
だからあたしは奴が喜んでいる理由を聞かずとも
理解できるというミラクルなことをおこしていた。
名前。
それがこんなに効果を出すなんて。
いつもなら、ばかちんという言葉に怒りを買いそうだけど、
それすらも気になっていない様子。