奴のとなり
目瞑ってたから
あたしが見てるなんて気づかないはず。
耳に目があるのか?
なんで見てるのわかったんだろ。
なんて思考を巡らせていると
黙ったままだったことに気づいて顔を上げる。
彼の眉間には最初よりずっと深い皺。
1本だったのが2本になってる。
こわい。
「名前呼んだろーが」
また考えてること読まれた!!
お母さんには
何考えてるかわからないって
言われてるポーカーフェイスなあたしなのに。
やっぱりエスパーだ!!
一人間違った方向に解釈しつつ、
やっぱり返事をするのを忘れていた。
「おい、自分から声かけといて、無視か」
怒りを含んだ声は
すでに冷え切った体を冷たくする。