奴のとなり
そういえば・・・。
あたしは
さっきから、聞きたいことが聞けなくて
むずむずしている。
それは、もちろん彼女の名前。
今さらどうやって切り出せばいいの?
いや、
今さらだからこそ、
もう聞く必要ない?
分からない、分からない。
「さっきの続きなんだけど」
話を切り出した彼女は、楽しそうに口を広げると、
「一条さんが地味なら、世の中の女は虫けらね」
と、とんでもない言葉を
さも美しい芸術品とばかりに吐き出した。