咎人の歌

……決していつもより早く部屋を出たわけでは無かったが、三春が教室の扉を開いたとき中には誰も居なかった。

「(おかしーな…休講か?)」


時刻は午前9時過ぎ。

授業の開始が後10分を切ると云うのに、誰も居ないなんて規律の厳しい他の生徒にとっては非常事態だろう。

とりあえず三春は窓際の自分の席に荷物を乱雑に置き、隣のクラスを窺いに行く。

そう言えば今日はやけに校内が静かすぎる…そんなことを感じながら廊下を抜けると、


――其処には、誰も居ない教室があった。


「…っ、マジかよ」

この教室はBクラスよりも厳しいとうたわれる普通学科、Aクラスの筈だ。

確認してみても、クラスのプレートには確かにそう刻まれている…三春の見間違いでない。


何かがおかしい。


三春は、直感的にそう思った。原因は解らなくとも、今この学科に異変が起きている。

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