林檎と、キスと。
愛の告白
ピンポーン…
狭い部屋に、今か今かと待ちわびていた音が響いた。
わたしはパジャマの上に白いモコモコのパーカーを羽織ると、コホン、コホンと咳き込みながら玄関の鍵を開ける。
「おーっ。大丈夫か?」
力なく開いたドアを片手で支え、心配そうな表情でわたしの顔を覗きこむ彼。
「…たぶん。…コホッ」
室内の暖かい空気に吸い寄せられるように、外から冷たい風が入り込んできた。
彼の吐く息も、まっしろ。
「からだ冷やすぞ。早く中に行け、中に」
冷たい空気を遮断するようにドアを閉めた彼は、片手だけでわたしの体をクルリと180度回転させた。
彼の体にまとわりついていた冬の空気が鼻先をくすぐり、わたしの目の前でふわりと溶けた。
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