優しい檻


雪依は左手を見た。

俊一のくれた指輪が光っている。


「――綺麗…」

これでずっと幸せになれるんだ。

夢にまで見ていた幸せ。

私はずっとこの時を望んできた。


―ふと、五線譜を見つめた。

彼の手書きの五線譜。
雑な音符の羅列で、譜読みに散々苦労した。


よく見ると、
1小節目の前に何か字が書かれていた。


「――これ…?」


< 101 / 106 >

この作品をシェア

pagetop