優しい檻

女の靴があったが、ピアノの音は聞こえなかった。

レッスン部屋に近づくと女性の声が聞こえた。
ドアを開けると、船越が女性の首筋にキスをしていた。



「…何だよ、お前、気がきかない奴だな」
女と船越は笑った。


雪依は言葉を失い、
「…あ、あの…すみません、失礼しました。」
ドアから飛び出した。






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