優しい檻

雪依がどうしていいかわからず、玄関で立ち尽くしていると、さっきの女が出てきた。
「何してるの、入ったら?」
女は言った。
「言われなくても、入ります」

雪依が言うと、女は鼻で笑い、帰った。


船越はマルボロを吸っていた。
「何突っ立ってんだよ」

「あ…あの、先生は良くあんなことをされるんですか?」

「は?何だよ、あんなことって」

「だ、だからさっきの女の人としてた様なこと」

彼は黙って雪依を見て笑った。

「何赤くなってんの?そんなんで」

「そ、そんなことありません!」

「あんなこと以上もやってるよ」

「ど、どうしてですか?!だって先生には…」

「あのさ、俺が何しようとお前にそんなこと言われる筋合いないよね」






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