優しい檻



―――雪依と船越が生徒と教師以上の関係を持ったのは、あの女性との目撃からかなり後のことだった。

雪依は弟子入りの時と同じように何度も船越を誘った。
しかし彼はその度容赦なく突き放した。

「どうして、どうせ抱いてる女の人なんかたくさんいるんでしょ?!どうして私じゃ駄目なんですか!!何が違うの?!」

「俺が抱くのは大人なんだよ。子供は論外だ」

雪依は勢い良く服を脱ぎ始めた。

「――何してんだよ。着ろよ!」

船越は脱いだ服を雪依に投げつけた。
雪依は泣きじゃくり、
「どうして?私だって女なの!先生の好みの女になるから!
大人の女になるから!」

だから、お願い、
1人にしないで――

船越の胸にすがりついた。

「よせ、そんな眼で見るな!」

こんなみっともない醜態を見せて抱く男なんていないだろう。


けれど必死だった。

―先生が欲しい。

ただ、それだけ。



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