優しい檻
しばらくして、
「―俺が抱いた女はな、割り切った関係が出来る奴だけなんだよ」
船越は言った。
「お前にそれが出来るわけないだろ」
「――出来るわ」
「本気で言ってんのか」
雪依はうなずいた。
「言っておくが、幸せなんて期待されても無駄だ」
「分かってます」
船越は呆れた様に
「馬鹿じゃねぇの」
と言った。
―そうして、あのホテルに呼んでくれたのだ。
絶対に誰にも言えない、
秘密の関係が始まった。