優しい檻
「お兄ちゃん!」
「え?」
「ちゃんと挨拶しなよ。」
「あ、すんません!僕、こいつの兄で俊一です!妹がお世話に…あっ!」
俊一の挨拶の途中で持っていたスケッチブックが落ちた。
「何緊張してんの、お兄ちゃん」
雪依はスケッチブックの中から出た紙を見た。
「これ…」
手に取って見ると、
「あ、いや、ちょっと絵が好きで…」
「素敵…すごく上手いのね」
「マジっすか?!うわ、すっげー嬉しい」
俊一はそう言い、彼もまた曇りのない笑顔で笑った。