優しい檻

もう1人の生徒は岡崎弓子という、セレブな品のある夫人だった。


彼女のレッスンは難しかった。

大人になってからピアノを始めるのは雪依は経験がなく、しかも彼女は自分の弾きたい曲を惜しげなくリクエストしてくる。韓国ドラマの主題歌とか。

「ではその曲を弾くのを目標に、指の練習から始めましょうね。」

そう言って、雪依は楽譜を閉じると、船越の写真のパンフレットが出てきた。







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