優しい檻
「―せい、先生、どうしたの?」
我に変えると、俊一が心配そうに覗きこんでいた。
「具合悪いの?顔色が悪いですよ」
「―あ、ごめんね。ちょっと疲れてて…」
「何か悩んでる」
「え?」
「そんな顔してる」
「大丈夫よ。ごめんね、モデルがこんな酷い顔じゃあ、絵にならないね」
雪依は帰ろうとした。
「先生は綺麗ですよ」
「―俊君…」
「今ももちろん、綺麗です」
「冗談はやめて。ごめん、今日は帰る」