優しい檻

入院中、真理と俊一がお見舞いに来てくれた。

「先生、思ったより元気そう」
「若いから、回復が早いって、言われちゃった。」雪依は笑った。
俊一はじっと雪依を見ていた。

「どうしたの?俊君」

「先生、絵、もうすぐ完成なんです。」
「そう、楽しみね」

「それまで、毎日ここで先生をスケッチして良いですか?」

「え?嫌だ。こんな病人の顔」

「今の先生の顔、描いときたいんです。お願いします!」
彼の素直な瞳を見ると断れなかった。
「少しだけよ。」
「有り難うございます!」
俊一は嬉しそうに笑った。



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