優しい檻


あっという間に退院の日が来て、学校にも通える様になった。

船越からいつものホテルで会おうと連絡が来た。


――ステナイデ…


頭痛がまだ治らない―


部屋に入るとマルボロの匂いがする。
「退院、おめでとう。」
彼はそう言った。

そして、火を消し、
「雪依。ごめんな。」

―ヤメテ…

「全部、こんなことになったのは俺のせいなんだ。」

―チガウ…

「お前も、気付いてたんだろう、全て。」

―ワカラナイ

「あの手紙も無言電話も、―そして、お前を突き落とした人を。」

―ワカラナイ、ミテイナイ―

「全部、俺の娘だった。」






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