優しい檻
会って話がしたいと電話で話すと、船越は家に招いた。
雪依は約1年振りの船越の家に行き、
少し緊張したが、彼は全く普段と変わらなく接した。
「で、何だよ、用って」
マルボロを吸いながら、聞いた。
「―あの、先生…」
彼は変わらない。だが少しやつれた様に見えた。
「何?もしかしてより戻したいとか?」
「違います!あの、それより、ご家族は?」
どこか、家が以前より生気がない様に見えた。
「今はいない」
「もしかして、別れたんですか?」
「違うよ、関係ねえだろ、そんなこと聞きにきたのかよ」
「関係ないって…もし私のせいで…」
「だから関係ないって言ってるだろ」
船越は腹立たし気に立ち上がり、
「その話ならするつもりはない。帰れ。」
と言い放った。