優しい檻
折れた翼
その後、俊一に連絡をしてもしばらく繋がらなかった。
「雪依先生!久しぶり!どうしたの?」
「久しぶり、真理ちゃん。元気だった?」
「違う先生になって、ピアノつまんなくなっちゃったよ。」
真理ちゃんはすぐにニヤニヤして、「お兄ちゃん、部屋だよ」と言った。
「雪依」俊一は驚いた様子で、「どうしたの、僕の家になんか来たことなかったのに」
部屋は彼の描いた絵で溢れていた。
絵の具の匂いが充満してる。
「会いたくて、来ちゃった」
「え…」
「これ、良かったら来て欲しいの」
「…これ?」
「コンクール、予選だけど。本選に選ばれるのは200人中5人だけの凄く厳しいコンクールなの。俊に聞いて欲しくて」
「―分かったよ。本気なんだな。練習、頑張って」