優しい檻

その後、俊一はいつもの様に明るく振舞い、雪依にも優しかった。

俊一の母親が雪依の家に訪ねてきたが、俊が雪依を庇ってくれた。
雪依が留学の話をしても、俊一は「その話はもう終わった」というだけだった。
俊一は、雪依と会うときは、絵の話をしなくなった。



俊一はいつもの様に大学の講義を終え、雪依の好きなスイーツを買い、雪依のアパートに向かった。

アパートの前に着くと、ふと玄関の前で話声が聞こえた。

鍵をさして、ドアを開けると、男の靴があった。

「雪依、誰か来てるの?」
部屋にると、俊一は凍りついた。



―雪依と船越が裸でベッドに入っていたのだ…
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