優しい檻


「――嘘だろ…?」

雪依は黙って俊一を見ていた。
少し顔が青ざめていた。

「なあ、嘘だろ、こんなの…」

「嘘なわけないだろ、見た通りだよ。現実さ」

船越がそう言うと、俊一は船越に掴み掛かった。

「お前…!」
「俊!やめて!」

「お前なんか、雪依に会う資格なんかないだろ!何で雪依なんだよ!他に誰でもヤれる女はいるだろ?!俺と雪依は愛し合っているんだよ!」
「俊、私が悪いの!」

「どうして、どうしてだよ…」

「ま、お前じゃ雪依を満足出来なかったんだろうね」
船越がそう言うと、俊一は船越を殴った。

「きゃあ!」
「黙れ!不倫野郎!」

「やめて、俊!」
「どけ、雪依!こいつに分からせてやるんだ!」

「駄目っ!」

「何で…何で庇うんだよ?!俺よりこんな奴を?」




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