優しい檻
それから、俊一が留学したというのを真理からの留守電で聞いた。
また、電話が鳴っていた。
雪依は出ようとはしなかった。
留守電に切り替わり、学校からの連絡だった。
このままだと単位が足りなく、留年の可能性があるという内容だった。
あの俊一との別れから、外に一歩も出ていない。
船越や友人や、弓子夫人から連絡が入っていたが、電話を掛ける気もおきなかった。
あれから何日経ったのかも分からない。
買い物に行っていないので、食べ物も無くなっていたが、買いに行く気力もなかった。
まるで死人の様な生活をしていた。