優しい檻

―留学…

「俺のドイツで留学していた頃の恩師なんだけど、お前のこと話したら是非って言ってくれたんだ。
彼に教えてもらえれば間違いなく伸びるよ。

俺もお前が卒業する頃向こうで活動する予定だし、ちょうど良いと思うんだ。」

―私が
ドイツで勉強出来る…

「でも、そんなお金ありません。
これ以上父に頼りたくないですし。」

「学校は奨学金で何とかなる。住む所は俺の知人の家がある。」

「―でも、先生にそこまでしてもらう義理はないです。」

「今さら何遠慮してんだよ!こんなチャンス一生に一度あるかないかだぜ?分かるだろ?」

「―私、就職しようとしてるのに。」

「それが惜しいから言ってるんだよ。」



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