優しい檻

それから雪依はバイトを始めがら、授業とレッスンにも真面目に通った。

音楽以外のバイトは初めてで、大変で新鮮だった。
船越は最近作曲にも取り組み、テレビ出演もしてますます多忙な日を送っていた。


「先生、私凄く感謝しています。感謝しきれないほど迷惑かけてきて、恥ずかしいです。」

「何だよ、急に。気持ち悪いな。」

「本当に思ってるんです!それで…あの、お願いが…」

「やっぱり何か企んでるな。」

「違います!あの、留学の話しですが…」

「ああ、決めたか?」

「はい、それで、費用なんですが、」

「いいよ、気にするな。」

「バイトして少しは貯めました。足りない分は必ず後で返します!」

「分かった。」


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