優しい檻
少したくましい体になり、髪も伸びていた。
顔が以前より男らしくなっている。
「びっくりしたよ。
雪依がドイツに留学したって聞いて」
日本語で会話が出来る、それだけで雪依は泣きたい程嬉しかった。
「…いつドイツに来たの?」
「昨日かな。話しを聞いて、飛んで来た。」
―そんな、俊が会いに来てくれるなんて。
夢にも思わなかった。
「そうだ!新聞見たわ!素晴らしい賞をとったのね。おめでとう」
「運が良かったんだ。」
「そんなこと、俊は才能あるもの。…有名になっちゃったのね」
「僕は変わらないよ」
俊一が笑顔を見せた。
―どうして、そんな優しく接してくれるの。
私は酷い仕打ちをあなたにしたのに。
「雪依だって、凄いよ。
1人で留学だなんて。
僕はてっきり…あいつと一緒だと」