向日葵-the black cat-
「俺、お前居ないとダメらしいよ?」


「へぇ、そう。」


「…それだけかよ。」


「他に何て言って欲しい?」


「傍に居て、とか?」


「言わなくてもわかってんでしょ?」


「…そうだな。」


ホント、そうだよな、って。


つか、わかってるけど言えよ、とか思っちゃうんだけど。


まぁ、この際我が儘は言わないでおこう。



「それより真面目な話、これからどうする?
つか、お前ホントにここで働くの?」


正直、俺にとっては大事な話だ。


これでまたヨシくんには返しきれない恩が出来てしまったのは言うまでもないけど、でも、夏希だって無理やりここに連れて来られたのだろうから。



「…あたし、相葉サン苦手。」


「まぁ、そうだろうな。」


つか、それが普通の意見だとは思うけど。


それでも、出来ることならあの人のことを、誤解しないで欲しいと思ったんだ。


確かに非道なところがあるのも事実だけど、でも、自分が認めたヤツだけにはありえないほど優しくて、大切にしたがる、ってことを。


多分ヨシくんは、お前のことだって嫌いじゃないはずなんだ、ってさ。


上手く言葉で伝えられたかは分かんなかったけど、それでも夏希は、俺の紡ぐ言葉をちゃんと聞き入れてくれた。



「ホントのこと言うと、転がってた俺のこと拾うって言い出したのも、由美姉なんだよ。
育ててもらった恩もあるし、由美姉のためにも、俺はヨシくんのこと支えていきたいの。」


ごめんな。


けど、俺の中じゃお前とヨシくんを、同じ量りでは測れないんだ。


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