向日葵-the black cat-
「龍司。
お前人間なら、一応朝だし起きろ。」
そんな声が頭の上から降って来て、未だ眠剤と酒の残った脳は、キンキンとした痛みを放ってくれる。
いつの間にやらひどく冷たい部屋にはあたたかみを帯びた陽が差し込んでいて、窓に張り付いていた水滴は一晩のうちに消えていた。
「…俺、人間だっけ?」
「少なくとも、人間の形してるから人間だ。」
「そか。」
あれから一夜明けたけど、でも、記憶はないままだった。
そんな俺に一枚のメモ用紙のようなものが差し出され、首を傾けながら受け取ってみれば、彼の字で走り書きがされていた。
《梶原康太郎・骨折数ヶ所・S病院に搬送》
ただ、目を疑った。
紙切れとヨシくんの顔を交互に見比べてみれば、彼はため息を混じらせながら煙草を咥えて。
「梶原、って言ってたろ?
時間と場所と状態から見て、コイツだと思うけど。」
「…調べた、の?」
「お前が殺してたら、また面倒なことになるだろ?
もちろん生きてるけど、折れたろっ骨が肺に刺さってたらヤバかった、って。」
「…そう、なんだ…」
「安心しろよ。
けど、お前は悪運が強いのかどうなのか、ホントにわからないね。」
イタズラにそう言葉を投げられたんだけど、俺は笑うことは出来なかった。
親父にしてもこの梶原ってヤツにしても、もう少しで死んでたんだろうし、きっと死んだ方がマシなヤツだったから。
「お前は一応成人してんだし、殺人犯なんかになったら俺の仕事で余罪がつくぞ。」
「言わねぇよ、ヨシくんのことは。」
「けど、証拠固められたら終わりなんだ。
俺に迷惑掛けたくないと思うなら、少しは考えて行動することを覚えろよ。」
ただ、“はい”としか言えなかった。
この男が退院したら、また夏希の前に現れるかもしれないし、その時俺は、どうすれば良いんだろう、って。
お前人間なら、一応朝だし起きろ。」
そんな声が頭の上から降って来て、未だ眠剤と酒の残った脳は、キンキンとした痛みを放ってくれる。
いつの間にやらひどく冷たい部屋にはあたたかみを帯びた陽が差し込んでいて、窓に張り付いていた水滴は一晩のうちに消えていた。
「…俺、人間だっけ?」
「少なくとも、人間の形してるから人間だ。」
「そか。」
あれから一夜明けたけど、でも、記憶はないままだった。
そんな俺に一枚のメモ用紙のようなものが差し出され、首を傾けながら受け取ってみれば、彼の字で走り書きがされていた。
《梶原康太郎・骨折数ヶ所・S病院に搬送》
ただ、目を疑った。
紙切れとヨシくんの顔を交互に見比べてみれば、彼はため息を混じらせながら煙草を咥えて。
「梶原、って言ってたろ?
時間と場所と状態から見て、コイツだと思うけど。」
「…調べた、の?」
「お前が殺してたら、また面倒なことになるだろ?
もちろん生きてるけど、折れたろっ骨が肺に刺さってたらヤバかった、って。」
「…そう、なんだ…」
「安心しろよ。
けど、お前は悪運が強いのかどうなのか、ホントにわからないね。」
イタズラにそう言葉を投げられたんだけど、俺は笑うことは出来なかった。
親父にしてもこの梶原ってヤツにしても、もう少しで死んでたんだろうし、きっと死んだ方がマシなヤツだったから。
「お前は一応成人してんだし、殺人犯なんかになったら俺の仕事で余罪がつくぞ。」
「言わねぇよ、ヨシくんのことは。」
「けど、証拠固められたら終わりなんだ。
俺に迷惑掛けたくないと思うなら、少しは考えて行動することを覚えろよ。」
ただ、“はい”としか言えなかった。
この男が退院したら、また夏希の前に現れるかもしれないし、その時俺は、どうすれば良いんだろう、って。