向日葵-the black cat-
酒と煙草の混じった味によって記憶が引き戻されたとき、珍しく部屋の中には甘ったるい香水の匂いが広がっていた。
思わず嗚咽してしまい、甘さの原因である人物の姿を視線だけで探せば、そんな俺に気付いたのだろう、“寝煙草禁止ー!”なんて言った彼女の唇は弧を描く。
「…美弥、子…?」
「さっきから居たんだけど。」
「あぁ、そうなの?」
どうでも良くて軋んだ体を起こしてみれば、パソコンのデスクに腰を降ろしていたヨシくんがこちらを振り返り見た。
すでに世界は夜の帳が下りていて、先ほどまではあたたかな中で寝ていたと思っていたが、今は嫌に冷たい人工的に灯された明かりに頭の上から照らされている始末。
「本物の猫だって、もう少し動くと思うけど。」
やっと起きたのか、なんて瞳のままのヨシくんの声が、俺をチクチクと刺していく。
相変わらず反論出来なくて、もう、好きなだけ罵ってくれよ、なんて開き直ってみたり。
「龍司、何で相葉クンの部屋に居候してんの?」
「そうだ!
邪魔だから、美弥子が引き取ってくれない?」
「嫌よ。」
「命令、って言っても?」
「あたしの部屋はプライベートな空間なの。
相葉クンと違って仕事と私生活は分けてるんだから、そんな命令聞けないわ。」
「じゃあ、セックスでもしてあげてよ。」
「もっと嫌。
あたし今、ラッブラブな彼氏が居るんだから。」
そう、わざとなんじゃないかと思える会話が少し向こうで交わされていて、俺は引き攣るように口元を上げた。
つーか、何がラッブラブだよ、お前。
思わず嗚咽してしまい、甘さの原因である人物の姿を視線だけで探せば、そんな俺に気付いたのだろう、“寝煙草禁止ー!”なんて言った彼女の唇は弧を描く。
「…美弥、子…?」
「さっきから居たんだけど。」
「あぁ、そうなの?」
どうでも良くて軋んだ体を起こしてみれば、パソコンのデスクに腰を降ろしていたヨシくんがこちらを振り返り見た。
すでに世界は夜の帳が下りていて、先ほどまではあたたかな中で寝ていたと思っていたが、今は嫌に冷たい人工的に灯された明かりに頭の上から照らされている始末。
「本物の猫だって、もう少し動くと思うけど。」
やっと起きたのか、なんて瞳のままのヨシくんの声が、俺をチクチクと刺していく。
相変わらず反論出来なくて、もう、好きなだけ罵ってくれよ、なんて開き直ってみたり。
「龍司、何で相葉クンの部屋に居候してんの?」
「そうだ!
邪魔だから、美弥子が引き取ってくれない?」
「嫌よ。」
「命令、って言っても?」
「あたしの部屋はプライベートな空間なの。
相葉クンと違って仕事と私生活は分けてるんだから、そんな命令聞けないわ。」
「じゃあ、セックスでもしてあげてよ。」
「もっと嫌。
あたし今、ラッブラブな彼氏が居るんだから。」
そう、わざとなんじゃないかと思える会話が少し向こうで交わされていて、俺は引き攣るように口元を上げた。
つーか、何がラッブラブだよ、お前。