向日葵-the black cat-
「…ヨシくん、クスリ、早く…」


「龍司。」


「…頼むからっ…!」


「龍司!」


刹那、胸ぐらを掴まれてハッとした。


そのまま崩れるようにソファーへと倒れ込み、俺はどうすることも出来ずに顔を覆った。


まるで縋るように依存している自分自身に、荒い呼吸を落ち着けてみれば、嫌悪の中に飲み込まれてしまいそうだ。



『強く、なろうね、お互い。』


無理だよ、俺なんかじゃ。


そんなことわかりきってるはずなのに、迎えに行くと言った言葉でさえも、過去にして欲しくなかったから。


結局俺は、今もアイツをそんな台詞で縛っているんだ。



「…死にてぇんだよ…」


「わかったから、もう黙れ。」


「…会いたくて、死にそうなんだ…」


そして最終的にはいつも、こんな台詞ばかりが口をつくんだ。


必死で衝動を抑えて、それでもコントロール出来なくて、吐きそうになる。


クスリもハッパももう止めたってのに禁断症状で手が震えて、それでもいつかもし、偶然にでも夏希に再会したとして、そんな自分自身を知られたくはなかったから。


それだけが、唯一俺のストッパーなんだ。


震える吐息を吐き出してみれば、ヨシくんの重苦しいため息の後ろではまた、雨音が静かに響いていた。


傷痕となった右腕が今更になってヒリヒリとした痛みを放ち、拭えない記憶に唇を噛み締める。


あの日から、もう何度こんな夜を繰り返したのだろう。


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