向日葵-the black cat-
実に6日ぶりに外に出てみれば、先ほどまで降っていた雨の匂いが路面に混じり鼻をついた。
そんなものに幾分眉を寄せて自らの車へと乗り込み、ため息混じりにエンジンを掛けてシフトをドライブへと入れる。
ぽっかりと空いてしまった助手席も、ひどくムードを醸し出している洋楽も、何もかもに虚しくなりながらも、車を走らせることしか出来ないまま。
ただ、左手に握り締めた自宅の鍵だけが、手の平の中でその存在を主張し続けている。
自らのマンションへと辿り着いてみれば、この場所で暮らしていたことさえも遠い昔のことのように感じてしまう。
高級車も、そしてだだっ広い一室も、どちらも維持するために生きて、そして働く理由にしてきた。
もちろん少しの見栄もあったのだろうが、今となってはそれすらも虚しく感じてしまう。
鍵穴に、左手に握り締めていたそれを差し、そして右へとひねればガチャリと金属音が響いて消えた。
ゆっくりと扉を開けると、誰も居ないことを表すように真っ暗で、わかってても電気をつけ、彼女の姿を探してしまう。
「…夏希…」
ポツリと呼び掛けたはずの名前はただ宙を舞い、そして静寂に溶けた。
本当にもう、居なくなってしまったのか。
今、どこでどうして、そして何を、誰を想っているのだろう。
ふと目についたのはテーブルの上で、その瞬間、俺は崩れるようにその場へと座り込み、顔を覆うことしか出来なかった。
「…あの馬鹿が…」
食卓に並んでいたのはハンバーグで、お皿山盛りのそれは、夏希が俺のために、最後に残してくれたものだとわかったから。
だからまた、堪らなく会いたくなって、それと同時に後悔ばかりが募ってしまう。
『…最後にさ、お前のハンバーグ食いたかった…』
弱くて、不甲斐無いばかりの自分を責めて、悔しさの中で唇を噛み締めた。
『まぁ、アイツはもう、アンタのことなんか何とも思ってないみたいっすけどね。』
そんなものに幾分眉を寄せて自らの車へと乗り込み、ため息混じりにエンジンを掛けてシフトをドライブへと入れる。
ぽっかりと空いてしまった助手席も、ひどくムードを醸し出している洋楽も、何もかもに虚しくなりながらも、車を走らせることしか出来ないまま。
ただ、左手に握り締めた自宅の鍵だけが、手の平の中でその存在を主張し続けている。
自らのマンションへと辿り着いてみれば、この場所で暮らしていたことさえも遠い昔のことのように感じてしまう。
高級車も、そしてだだっ広い一室も、どちらも維持するために生きて、そして働く理由にしてきた。
もちろん少しの見栄もあったのだろうが、今となってはそれすらも虚しく感じてしまう。
鍵穴に、左手に握り締めていたそれを差し、そして右へとひねればガチャリと金属音が響いて消えた。
ゆっくりと扉を開けると、誰も居ないことを表すように真っ暗で、わかってても電気をつけ、彼女の姿を探してしまう。
「…夏希…」
ポツリと呼び掛けたはずの名前はただ宙を舞い、そして静寂に溶けた。
本当にもう、居なくなってしまったのか。
今、どこでどうして、そして何を、誰を想っているのだろう。
ふと目についたのはテーブルの上で、その瞬間、俺は崩れるようにその場へと座り込み、顔を覆うことしか出来なかった。
「…あの馬鹿が…」
食卓に並んでいたのはハンバーグで、お皿山盛りのそれは、夏希が俺のために、最後に残してくれたものだとわかったから。
だからまた、堪らなく会いたくなって、それと同時に後悔ばかりが募ってしまう。
『…最後にさ、お前のハンバーグ食いたかった…』
弱くて、不甲斐無いばかりの自分を責めて、悔しさの中で唇を噛み締めた。
『まぁ、アイツはもう、アンタのことなんか何とも思ってないみたいっすけどね。』