向日葵-the black cat-
燻る真っ黒いものを持て余し、孤独を飼い慣らしきれない自分に、ただ苛立ちが募る。


二人分の弱さをいくら重ね合わせてみたところで、結局は強くなんてなれないんだと知った。


明け方にはまた雨粒が世界を濡らし、まるで俺に似ているのだから嫌になる。


一晩中携帯を握り締めていたけど、でも、結局は掛けることなんて出来なかった。


本当にもう俺たちは、智也が言うように終わってしまって、そしてあのハンバーグは手切れのつもりだったのかな、なんて。


いくら考えてもわかんなかったし、せめて書き置きでも残しとけよ、なんてことさえ思ってしまうのだから。


どこまで俺は、身勝手なのだろう。



「…会いてぇんだよ…」


会いてぇんだよ、お前に。


本当は、今すぐにでも抱き締めたくて堪らないんだ。


だけども呟いた声は虚しく窓ガラスを打つ雨音にかき消され、部屋の中へと溶け込んだ。


結局はこの一週間、夏希のことばかり考え続けてた自分。


強くなれなくて、もちろん迎えに行く勇気さえもないのに、ただ、駄々をこねる子供のように求めてしまう。


そして結局は、記憶の中に深く沈んでしまい、このまま窒息して死んでしまうことを望んでるんだ。


飲み込まれそうで、怖くて堪らない。


残り香は俺の香りと混じったのか、それとも単に消えてしまっただけなのか、鼻腔の奥をくすぐることは、いつの間にかなくなっていた。


それはまるで、彼女の存在そのもののように感じてしまう。




なぁ、夏希…


過去も未来も、全部話したのはお前にだけなんだ。


傷跡に触れたのも、受け入れてくれたのも、全部全部お前だけだった。


なのに、弱さに負けてごめんな。


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