向日葵-the black cat-
本当に花束が欲しかったのか、なんて驚いたような顔したサチは、クスリとだけ笑った。
別に、それを誰かに贈るってわけでもないけど、でも、何となくね。
「メッセージカードはどうする?」
「…いらないや。」
「彼女にあげるんじゃないの?
喜ぶわよ、きっと。」
「じゃあ、サチにあげる。」
「何それ、いらないわよ。」
ショーケースから向日葵を数輪取り出そうとしていた手を止めた彼女は、幾分怪訝そうに振り返った。
自分が包んだものを自分で貰うってことに怒ってんのかな、なんて思ったけど、どうやらそうじゃないような顔してる。
「花言葉、知ってて言ってる?」
「……え?」
「私はあなただけを見つめる、よ?」
“そんなものをあたしに?”と、彼女は付け加えた。
思わず参ったな、とため息を混じらせると、やっぱり頭の片隅には、夏希の顔が浮かんで消えるのだから。
「夏希チャンと、ホントは何かあったんでしょ?」
「…それは、女の勘?」
「あら、否定しないのね。」
さすがは、2年も付き合っていた上にヨシくんの妹だけある。
結局は隠せなくて、俺は曖昧なままに笑うことしか出来なくなった。
「サチには教えないよ。
これは、俺と夏希の問題だから。」
そう言ったのはもしかしたら、これ以上人に弱い部分を見せたくなかったからなのかもしれないが。
サチの前で泣き事とか言っちゃいそうで、それも嫌だったんだとは思うけど。
別に、それを誰かに贈るってわけでもないけど、でも、何となくね。
「メッセージカードはどうする?」
「…いらないや。」
「彼女にあげるんじゃないの?
喜ぶわよ、きっと。」
「じゃあ、サチにあげる。」
「何それ、いらないわよ。」
ショーケースから向日葵を数輪取り出そうとしていた手を止めた彼女は、幾分怪訝そうに振り返った。
自分が包んだものを自分で貰うってことに怒ってんのかな、なんて思ったけど、どうやらそうじゃないような顔してる。
「花言葉、知ってて言ってる?」
「……え?」
「私はあなただけを見つめる、よ?」
“そんなものをあたしに?”と、彼女は付け加えた。
思わず参ったな、とため息を混じらせると、やっぱり頭の片隅には、夏希の顔が浮かんで消えるのだから。
「夏希チャンと、ホントは何かあったんでしょ?」
「…それは、女の勘?」
「あら、否定しないのね。」
さすがは、2年も付き合っていた上にヨシくんの妹だけある。
結局は隠せなくて、俺は曖昧なままに笑うことしか出来なくなった。
「サチには教えないよ。
これは、俺と夏希の問題だから。」
そう言ったのはもしかしたら、これ以上人に弱い部分を見せたくなかったからなのかもしれないが。
サチの前で泣き事とか言っちゃいそうで、それも嫌だったんだとは思うけど。