向日葵-the black cat-
「あ、そうだ!
ヨシくんさぁ、由美姉の本ってどこにある?」
「…書斎、だけど。」
聞いた瞬間、俺の足はその場所へと、まるで導かれるように動いていた。
“龍司?”と、やっぱり不審そうな声が背中越しに聞こえたけど、でも、それより知りたいことがあったんだ。
扉を開け、真っ暗な部屋の入口にある証明のスイッチを灯せば、今は使っていないデスクと、そして天井の高さまである本棚。
見たこともない本だらけなその場所から、俺は探し求める一冊に目を凝らした。
「あった!」
手に取ったのは、“花言葉集”と書かれた図鑑のような少し分厚い本で、あの日、由美姉が俺に貸してくれたものだ。
パラパラとページをめくっていくと、ある場所で俺の手は止まる。
「向日葵の花言葉?
そんなものなんか調べて、どうするつもり?」
「どうもしないけど、何となくね。」
本当にただ、何となく以外になかったわけだけど。
後ろから俺を覗き込んで来たヨシくんに一瞥しながらに告げると、彼は“意味分かんない”と言ってさっさと書斎を後にしてしまった。
《向日葵》
そう黒字で大きく記された名前と共に、色鮮やかな大輪の花が映っている。
学名がナントカだとか、キク科の一年草で、種実を食用や油糧とするため、あるいは花をどうのこうの、なんて書かれてるけど。
俺は視線を下へとスライドさせて行き、肝心の文字を探した。
《花言葉》
あなたは素晴らしい、崇拝、敬慕、光輝、あなたを見つめる、熱愛、などだそうだ。
へぇ、と漏らしながら、忘れないようにと俺は、心の中でそれを反復させた。
何とも情熱的な言葉が並べられていて、さすがは太陽に向かって真っすぐ伸びる花、と言ったところだろう。
ヨシくんさぁ、由美姉の本ってどこにある?」
「…書斎、だけど。」
聞いた瞬間、俺の足はその場所へと、まるで導かれるように動いていた。
“龍司?”と、やっぱり不審そうな声が背中越しに聞こえたけど、でも、それより知りたいことがあったんだ。
扉を開け、真っ暗な部屋の入口にある証明のスイッチを灯せば、今は使っていないデスクと、そして天井の高さまである本棚。
見たこともない本だらけなその場所から、俺は探し求める一冊に目を凝らした。
「あった!」
手に取ったのは、“花言葉集”と書かれた図鑑のような少し分厚い本で、あの日、由美姉が俺に貸してくれたものだ。
パラパラとページをめくっていくと、ある場所で俺の手は止まる。
「向日葵の花言葉?
そんなものなんか調べて、どうするつもり?」
「どうもしないけど、何となくね。」
本当にただ、何となく以外になかったわけだけど。
後ろから俺を覗き込んで来たヨシくんに一瞥しながらに告げると、彼は“意味分かんない”と言ってさっさと書斎を後にしてしまった。
《向日葵》
そう黒字で大きく記された名前と共に、色鮮やかな大輪の花が映っている。
学名がナントカだとか、キク科の一年草で、種実を食用や油糧とするため、あるいは花をどうのこうの、なんて書かれてるけど。
俺は視線を下へとスライドさせて行き、肝心の文字を探した。
《花言葉》
あなたは素晴らしい、崇拝、敬慕、光輝、あなたを見つめる、熱愛、などだそうだ。
へぇ、と漏らしながら、忘れないようにと俺は、心の中でそれを反復させた。
何とも情熱的な言葉が並べられていて、さすがは太陽に向かって真っすぐ伸びる花、と言ったところだろう。