夏 夢現
「なんだよ?!ここだよ」
「なんだい?縁側なんかに寝そべって
そのふてくされた顔は小さいころからかわらないねぇ」
口の端で笑うばーさん
年のわりには綺麗な感じの顔だ
「うっさいな
来たくもないとこきたんだからふてくされるのも
当たり前だろ」
「来たくもないところねぇ
本心かい」
俺は黙って起き上がった
「本心です」
「ふふ そうかい
海には行ったかい?」
「行ってない」
「なら行ってみな
私がここへ呼んだ1番の理由なんだから」
「は」
「受け入れなくてはだめだよ
拒んではいけない・・・
でないとおまえも自由にはなれないからね」
心臓が高鳴った
「まあ、明日行くことだね
今日はもう遅いから 居間へおいでごはんだよ」
そう言いながら俺に背をむけた

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