夏 夢現
その日の夜はやけに寝苦しかった
波の音が耳障りで
海の上で寝てるみたいだ
「るせー・・・」
ため息がでる
ここにいるだけで苦しくなるのに・・・なんで俺ここにいるんだろ

ざざざっ

瞑っていた目を俺は大きくあけた
波の音?いや、もっと何か俺を呼ぶ音・・・
おおげさにいえば・・・
「声?」
俺は小さく笑った
声が聞こえるわけがない
これは波の音だ
俺は寝る向きをかえて目を瞑った
何も聞こえない
聞きたくない

≪カイ・・・リカイリ・・・≫

「・・・っ?」
汗がもの凄くでた
今のは声だった
「なんなんだ・・・」
汗をぬぐう手がふるえてる
ここにはきたくなかった
ここには俺の罪があるから

< 3 / 12 >

この作品をシェア

pagetop