repeat story ~10年後の君へ~
二度目の出会い
2008年10月―――――
それは、見慣れた町並みだった。
だけど、懐かしい景色でもあった。
相反するその二つの感覚が生まれたのは、わたしが16歳と26歳の間でまだ揺れていたからだろう。
目の前に広がるのは、2008年の七葉(しちは)の街。
わたしが高校時代を過ごした街だ。
コンビニにレストラン、ブティックに『廣嶋』っていう何を売っているのかよく分からない店。
それは、まぎれもなくいつもの通学路だった。
たしかに、今ここに居るわたしにとっては、いつもの光景だった。
わたしは立ち止まった。
というより、立ち止まったときに今まで歩いていたんだって気がついた。
不思議な感覚だった。
自分の中にたくさんの自分が居て、どれが本当の自分なのか、それどころか本当の自分なんてあるのか、分からなくなるような感じだ。
だけど立ち止まって、ブティックのガラスに映る自分の姿を見たときになんだかスッキリした。
わたしは、制服を着ていた。
紺のブレザーに深緑のプリーズスカート。
胸のところには校章のクローバーのマークがついている。四つ葉と三つ葉が交差しているようなやつだ。
こんなの着たの何年ぶりだろう・・・。
いや、今のわたしは16歳なんだから、毎日着ているのか。
そういえば、髪の長さだって色だって、少ししか変わってないけど背だって16歳のわたしだ。
顔は、ガラスじゃよく見えないけれど、やっぱりまだ子どもっぽい気がする。
そっか、わたしは16歳なんだ・・・
そこに辿り着くまでに、辿り着いてから考えると随分時間が掛かった。
そしてそこに辿り着いてしまうと、わたしは二つの感覚に戸惑うこともなくなった。
実際今だって、制服姿の自分を見て、『懐かしい』とか『恥ずかしい』とか思う気持ちは少しずつに薄れていって、『いつもの自分だ』と自然に認識している。
そしてもう一度この街を見てみると、今度は見慣れた町並みだという感覚のほうがずっと強くなっていた。
頭の中で混乱していたものが全て『わたしは16歳なんだ』という意識のもとに固まった。
そしてその瞬間、わたしは無意識のうちにある行動に出ていた。
それは、見慣れた町並みだった。
だけど、懐かしい景色でもあった。
相反するその二つの感覚が生まれたのは、わたしが16歳と26歳の間でまだ揺れていたからだろう。
目の前に広がるのは、2008年の七葉(しちは)の街。
わたしが高校時代を過ごした街だ。
コンビニにレストラン、ブティックに『廣嶋』っていう何を売っているのかよく分からない店。
それは、まぎれもなくいつもの通学路だった。
たしかに、今ここに居るわたしにとっては、いつもの光景だった。
わたしは立ち止まった。
というより、立ち止まったときに今まで歩いていたんだって気がついた。
不思議な感覚だった。
自分の中にたくさんの自分が居て、どれが本当の自分なのか、それどころか本当の自分なんてあるのか、分からなくなるような感じだ。
だけど立ち止まって、ブティックのガラスに映る自分の姿を見たときになんだかスッキリした。
わたしは、制服を着ていた。
紺のブレザーに深緑のプリーズスカート。
胸のところには校章のクローバーのマークがついている。四つ葉と三つ葉が交差しているようなやつだ。
こんなの着たの何年ぶりだろう・・・。
いや、今のわたしは16歳なんだから、毎日着ているのか。
そういえば、髪の長さだって色だって、少ししか変わってないけど背だって16歳のわたしだ。
顔は、ガラスじゃよく見えないけれど、やっぱりまだ子どもっぽい気がする。
そっか、わたしは16歳なんだ・・・
そこに辿り着くまでに、辿り着いてから考えると随分時間が掛かった。
そしてそこに辿り着いてしまうと、わたしは二つの感覚に戸惑うこともなくなった。
実際今だって、制服姿の自分を見て、『懐かしい』とか『恥ずかしい』とか思う気持ちは少しずつに薄れていって、『いつもの自分だ』と自然に認識している。
そしてもう一度この街を見てみると、今度は見慣れた町並みだという感覚のほうがずっと強くなっていた。
頭の中で混乱していたものが全て『わたしは16歳なんだ』という意識のもとに固まった。
そしてその瞬間、わたしは無意識のうちにある行動に出ていた。