あしたは笑おう
二つの約束
平成XX年 7月7日
ある男が伝統ある新光中学バスケ部の部長に任された。


新光中バスケ部は10年前まで全国大会常連校の超名門だった。
だが10年前を最後に全国大会常連校から地区大会どまりの弱小校に変わってしまった。
その理由として
30年も前から新光中を指導していた元全日本選手のコーチが他界したことが原因とされていた。


新光中はバスケ部以外に力を入れてなかったため
年々部活の盛り上がりがなくなってきていた。
もう2度と
新光中黄金期はこないと誰もが思っていた。
今年の大会も地区大会敗退。3年生は引退し
2年生に伝統あるバスケ部を任せることになる。



今日はその伝統を受け継ぐ
大切な日。



―「おーい!始めるぞ!」
部長の声と共に部員全員が体育館の中央に部長を中心に円をつくった。


「今日で3年生は引退だ。明日から2年生に部を託す。それでだ‥新部長に‥‥」


2年生に緊張がはしる。
伝統あるバスケ部の部長となると相当なプレッシャーがかかる。
神様にお祈りしてるかのように2年生は手を握りしめた。



「新しい新光中の部長は‥勇馬!お前にやってもらう!」

2年生の間に
どよめきが起きた。


佐川勇馬(さがわゆうま)
バスケの腕は2年生の中でも一級品。
だがキャプテン‥って柄じゃない。



「何かの間違いでしょ?」
と周りから聞こえる。


一番びっくりしているのは
勇馬本人だ。
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