有罪モラトリアム

自分を誤魔化し続けるのはもうやめよう。
子供じゃないんだから、自分の意見はハッキリと持とう。
誰にも惑わされずに。

理不尽な扱いにいつまで黙って耐えてるつもりなのだ。
いつまでAのことを放り出しておくつもりなのだ。
そもそもの原因は、私の内にあったのだ。

前に授業で考えた事がある。
クラスメイトのお互いの良いところをみつけて褒め合った。
みんなは私を「優しくて思いやりのある人」と言ってくれた。
でもね、本当は違うんだ。
ただ臆病で、みんなに優しい顔してるだけ。
自分の手を汚したこともないの。
それは、だれかに汚れ役を押し付けているってことなんだよ。
傲慢な優しさ。
嫌われないための優しさ。
そんなのは本当の優しさなんて言えない。
本当の優しさって何だろう?
私が求めているものは何だろう?

今なら少し、わかる気がする。


正しい事を、正しいと言える勇気を。


自分の大切な人を守るための力を。


本当の思いやりを。


臆病者の一歩を踏み出そう。




そして私はとうとう、再びSに立ち向かう決心をしました。

それは同時に、自分自身をみつめなおす大きなキッカケになったと思います。
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