有罪モラトリアム
「はい。」

チャイムに出たのは、Sのお母さんの声でした。

「ユキなんですけど、Sはいますか?」

「まぁ。久々だねー。部屋にいるから上がって頂戴。」

Sのお母さんは何も知らないんだな・・・。
急に私が部屋に上がってきたら、きっとSはビックリするだろう。

玄関にあげてもらった。
丁寧に靴を揃えて、挨拶をした。

「お邪魔します。ご無沙汰してました。」

「今ジュースとお菓子持ってくるからね。ちょっと上に上がって待っててね。
 S~!!ユキちゃんが来たわよー。」

お母さんは階段の下からそう叫びました。

すると、ドタドタっという音が聞こえて・・・

Sが大慌てで階段を駆け下りて来ました。

S「ユキ?!!!」

私「こんにちは。」

その時のSの顔っていったら・・・。
本当に目がまんまるでw

S「こっち。」

そう言って、私を部屋へ案内してくれました。

なんだか懐かしい。
前はよく来てたなぁ、ここ。

部屋の扉をバタンと閉めると、開口一番

S「何しにきたのよ。帰って!」

と、早速拒否られました。

私「話を聞くまで帰らない。」

S「なにそれ。今更話すことなんて何もないんだけど。」

私「私は聞きたい事がいっぱいあるの。」

S「親に言い付けに来たの?」

私「別に親なんて関係ないじゃない。」

S「何よ。さっさと言いなさいよ。」

私「なんで私だけじゃなくてAのことまで標的にするの?」

S「むかつくからに決まってるじゃん。」

私「むかつく理由は?」

S「あんたを庇ったから。」

私「それだけの理由?」

S「前々からむかついてたし、あの女。」

私「Aのどこがむかつくって言うのよ。」

S「何かとでしゃばっててムカツクじゃない。
 いかにも私はできる女です、みたいなw
 みんな喜んでいじめてたよw」
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