有罪モラトリアム
私「あぁw Aが賢くて目立ってたのがむかついたのねw」

Sの顔がカァっと赤くなりました。
どうやら図星だったようです。
口をぎゅっと結んで悔しそうな顔でこっちを見ています。

成績のいい彼女。
生徒会員の彼女。
堂々とした、正義感あふれる話しぶり。
きっとSのコンプレックスを浮き彫りにしていたはずだ。
Sだけじゃない。
他の女の子たちだって、きっと本当は憧れてた。
だからこそ彼女へのいじめがエスカレートしていったのだ。
優秀な彼女が落ちぶれていく様を嘲笑ってみていたのだ。


コンコン。


Sのお母さんがジュースとお菓子を持ってきてくれました。

私「ありがとうございます。」

S母「ゆっくりしていってね。」

お母さんが行ってしまうと、Sは話し始めました。

S「聞きたい事はそれだけ?だったらさっさと帰ってくれない?
 あんたの顔見てるだけでイライラしてくる。」

私「私だって、あんたの顔なんてみたくもないわよ。
  とにかく、これ以上Aに対して嫌がらせを続けるのは絶対許さない。」

S「あんたなんかに許されなくても全然構わないし。」

私「それだったら、こっちにだって考えがある。」

S「何よ。」

私「今まであんた達に受けた嫌がらせの証拠品、全部とっておいてあるんだから。
  教室に貼り付けて、黒板に堂々と書いてあげる。
  ビラを配ろうかと思ってる。
  今まであなたがしてきたことを。本当のことを。」


いつかしようと思っていて、ずっと集めていた。
ケータイの履歴の詳細。
録音した中傷の言葉。
破られて落書きされた教科書。
ぐちゃぐちゃにされた体操服、シューズ。
悪口いっぱいの手紙。
切り刻まれ、画鋲が刺さった写真。
Aの生徒会員立候補の際に使ったポスター。

腰が重くてなかなか上がらなかったけども。
みんなに真実を教えるんだ。暴露するんだ。
私とAは無実ですって。
無様だろうが、痛々しかろうが、正々堂々と大声で糾弾してあげる。
あなたの虚飾やいい訳なんて振り払ってあげる。

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